銀歯を白くする治療

日本の歯科治療では、保険適用される治療を行う場合に、一般的に銀歯が使用されています。しかし、銀歯は健康上の問題が起こり得る治療であることをご存知でしょうか？

歯医者さんの銀歯には、「アマルガム」で作られたものと「金銀パラジウム合金」で作られたものがあります。こちらでは、2つの違いとそれぞれの問題点についてご説明いたします。

アマルガムは、詰め物の素材として20～30年前くらいまで一般的に使用されていました。現在の歯科治療で使われていない理由は、アマルガムの主成分が人体にとって有毒な水銀であったためです。お口の中のアマルガムから水銀が溶け出し、体内に蓄積されることがわかってからは、歯科医院での出番はほとんどなくなりました。

そのため、20～30年前に治療した銀歯の詰め物はアマルガムの可能性があり、アマルガムだと判明した場合はすぐに外すことをおすすめします。

金銀パラジウム合金は、保険で虫歯を治療した際によく使われる銀歯の素材です。その名の通りパラジウムが含まれた合金なのですが、パラジウムは金属の中でもアレルギーを引き起こしやすいことがわかっています。

金属アレルギーのリスクを踏まえ、ヨーロッパでは歯科治療での使用を禁止している国もあります。費用が安い保険適用される素材ではあるものの、患者様の健康を考え、当院ではあまりおすすめしておりません。

小さな銀歯であれば、保険適用のコンポジットレジンという樹脂（プラスチック）で白い歯にできる場合があります。費用が安いことがメリットですが、以下のようなデメリットもある素材です。

• 強度が低く、すり減りやすい
• 噛む力が強くかかる奥歯や大きな銀歯の治療には不向き
• 吸水性があるため変色しやすい
• すり減りやすいために噛み合わせの高さが変わってしまうことがある

ハイブリッドセラミックという、レジンと呼ばれる樹脂（プラスチック）とセラミックを混ぜ合わせた素材を使った治療です。

ハイブリッドセラミックは、コンポジットレジン（樹脂）よりも強度や耐久性が高いため、コンポジットレジンで治療できない大きな銀歯や、奥歯の銀歯も治療できます。保険適用なので費用が安いのが最大のメリットです。

ただし、以下のようなデメリットもあります。

• クラウン（被せ物）のみで、インレー（詰め物）は保険で行えない
• 前から6番目と7番目の奥歯は、一定の条件を満たさないと保険適用にならない（金属アレルギーがある場合のみ、6番目と7番目の奥歯も条件なしで保険適用可）
• セラミックやジルコニアほどの強度や耐久性はない
• 吸水性があるため変色しやすい
• すり減りやすいために噛み合わせの高さが変わってしまうことがある

ハイブリッドセラミックという、レジンと呼ばれる樹脂（プラスチック）とセラミックを混ぜ合わせた素材を使った治療です。保険のハイブリッドセラミックよりも丈夫で審美性の高い素材を使っており、自費治療になります。

以下のような特徴があります。

• 保険のハイブリッドセラミックと違い、インレー（詰め物）も可能
• セラミック治療（オールセラミック、e-max、ジルコニア）に比べて費用が安い
• コンポジットレジンよりは丈夫だが、セラミックやジルコニアほどの強度や耐久性はない
• 吸水性があるため変色しやすい
• すり減りやすいために噛み合わせの高さが変わってしまうことがある

オールセラミックは、金属や樹脂（コンポジットレジン）を使わず、歯科用セラミックのみを使って銀歯を白い歯にする治療です。保険適用されず自費診療となりますが、以下のような多数のメリットがあります。

• 銀歯のように劣化しない
• コンポジットレジンのように変色したりすり減ったりしない
• 銀歯やコンポジットレジンよりも長持ちする
• セラミック治療の中で一番見た目が美しい
• 汚れが付きにくいため、虫歯や歯周病のリスクが低い

近年開発された新しいセラミック「e-max」を使った治療で、金属や樹脂（コンポジットレジン）を使わず、銀歯を白い歯にできます。保険適用されず自費診療となりますが、以下のような多数のメリットがあります。

• 銀歯のように劣化しない
• コンポジットレジンのように変色したりすり減ったりしない
• 銀歯やコンポジットレジンよりも長持ちする
• 汚れが付きにくいため、虫歯や歯周病のリスクが低い
• 強度はジルコニアにやや劣るものの、強度と見た目の美しさを両立している

ジルコニアは、金属や樹脂（コンポジットレジン）を使わず、ジルコニアセラミックを使って銀歯を白い歯にする治療です。保険適用されず自費診療となりますが、以下のような多数のメリットがあります。

• 銀歯のように劣化しない
• コンポジットレジンのように変色したりすり減ったりしない
• 銀歯やコンポジットレジンよりも長持ちする
• オールセラミックよりも強度や耐久性が高い
• 奥歯の中でも特に噛む力が強くかかる歯の治療も可能
• 汚れが付きにくいため、虫歯や歯周病のリスクが低い

銀歯の代わりに白いペースト状のハイブリッドレジン詰める自費治療がダイレクトボンディングです。保険のコンポジットレジンは樹脂（プラスチック）のみでできているのに対し、ダイレクトボンディングで使われる白いペーストは、樹脂（プラスチック）とセラミックを混ぜ合わせたハイブリッドレジンという素材になります。

セラミックやジルコニアほどの強度や耐久性はないため、大きな銀歯や噛むときに強い力がかかる奥歯では治療できないことがありますが、以下のようなメリットもあります。

• コンポジットレジン（樹脂）よりは強度や耐久性が高い
• 歯を削る量が、セラミックインレーやジルコニアインレーよりも少なく済む

セラミックやジルコニアに比べると吸水性や摩耗性がありますが、歯を削る量が少ないのは大きなメリットと言えるでしょう。

銀歯の中でも特に有害なアマルガムの詰め物を除去する治療が、アマルガム除去です。

主成分が水銀のアマルガムは、除去時に患者様の体内に入らないよう配慮する必要があります。当院では、患者様や術者が水銀に触れないよう細心の注意を払っております。